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韓国の家族関係登録制度とは

韓国の家族関係登録とは

韓国の戸籍制度は中国伝来のもので古くからありましたが、いくつかの変遷を経て、伝統的な戸籍が人口把握の観点や身分秩序の維持と租税徴収などのために近代的な方式に変更されてきました。

1909年に民籍法が法として施行されたあと、1910年に日本の韓国併合により、日本の統監府が民籍法に基づき親族関係の調査を本格的に実施しました。

 1922年には「朝鮮戸籍令」が公布され、戸籍簿が作成されました。この「朝鮮戸籍令」の制定により、身分関係を公示する制度が定着したとされています。当初の戸籍は、縦書き手書きのもので、その形式は日本の戸籍と同様のものです。

そして1970年ごろから横書きハングルの新様式が採用され始めました。 

さらに、1990年代後半より戸籍簿の電算移記作業が進められました。そして2002年には、オンライン化が完了し、全国どこの役所からでも戸籍が取得できるようになり、日本でも韓国領事館で取得可能です。

 韓国の戸籍制度は日本の戸籍制度とほぼ同じであり、戸主制度を採用しており、戸主を中心に家単位で戸籍を編製した制度であり、戸主は基本男性でした。そして妻は夫へ、子女は父の戸籍に入籍されることが強制されたため、戸籍謄本一つで家族のすべての変動状況を知ることができました。

 しかし男性中心主義や個人情報の侵害の観点から、戸籍制度は20071231日をもって廃止されることになりました。そのため、20071231日までに生まれた人については戸籍がありますが、それ以降に生まれた方には戸籍がありません。このように韓国では生まれた日によって戸籍のある人とない人がいます。

200811日からは新たに各個人を基準とした「家族関係登録制度」が施行され、家族関係登録簿が作成されることになりました。

また戸主が定め、戸主に従うこととされていた本籍も個人別に自由に決めることができる「登録基準地」に変更されました。

 家族関係登録簿は、全部で5種類あり、個人情報の開示が最低限となるように、目的に応じて使い分けます。

 家族関係登録簿には、共通事項として、本人の登録基準地、姓名、本貫、性別、生年月日、住民登録番号が記載されます。その他証明書の種類に応じて主に次の事項が記載されています。

 

1.基本証明書…本人の出生、死亡、改名などの人的事項が記載されます。

 

2.家族関係証明書…本人を中心に、父母・配偶者・子供の三代の情報が記載されます。祖父母や孫及び、兄弟姉妹の情報は記載されません。また、子供は長男や次男などの続柄や実子・養子の区別などは記載されずすべて「子」と記載されます。 

 

3.婚姻関係証明書…配偶者の人的事項や婚姻及び離婚について記載されます。

 

4.養子縁組関係証明書…養子のことを韓国では「入養」といいます。養父母及び養子の人的事項並びに入養(養子縁組)、罷養(養子離縁)に関する事項が記載されます。通常の養子縁組の場合は、養子の姓や本貫は変更されません。

 

5.親養子縁組関係証明書…親養子とは日本でいうところの実親との関係を断つ特別養子のことです。親養子縁組関係証明書には親養子に関する入養(養子縁組)、罷養(養子離縁)に関する事項が記載されます。また、親養子の場合には養子の姓や本貫も、養親の姓や本貫に変更されます。この親養子の証明書は、原則として子供が成年になるまでは公開しないことになっており、取得についても厳しく制限されています。

 

戸籍や家族関係登録簿関係の誤りについて

在日韓国人の場合、戸籍や家族関係登録簿を揃えても、その内容が事実と一致していない場合があります。一番多い原因は、生活のために住所地の役所(区役所や市役所など)には出生・婚姻・死亡などの届出はするものの韓国の役所や大使館・総領事館へは届出をしておらず、戸籍や家族関係登録簿に異動が記載されないためです。

 しかし、日本生まれの在日韓国人の場合は大使館や領事館への届出を行っていなかったり、離婚制度の違いなどから戸籍簿や家族関係登録簿の記載内容が事実と一致しなかったりする場合があります。

日本の住民票や外国人登録原票など各種書類を揃えて、訂正を申請することで対応可能な場合もありますが、内容が複雑な場合には、状況に応じて対応しなければなりませんので専門家に相談されることをお勧めします。 

韓国の家族関係登録簿

 

韓国では、これまで日本と同制度であった戸籍制度が、2008年11より従来の「戸籍法」が廃止され、新たに「家族関係登録等に関する法律」が施行されました。

因って、これまでの戸主制度が無くなり、家族を中心にした「家族関係登録簿」を編制し、本籍という概念も無くなり「登録基準地」という名に変わりました。

尚、家族関係登録簿は、従来の戸籍から自動的に作成されておりますので、2008年1月1日以降に出生した者が該当するので、、既に戸籍に載っている人は、新たに申告をする必要はありません。
 

では、「家族関係登録簿」とは、どういったものでしょうか?


戸主制の廃止


戸主を中心に家を一つの単位として編制していた戸主制の廃止し、戸主制を前提とする入籍・復籍・一家創立・戸主承継・分家制度が廃止されました。その代わりに、個人を基準に編制した家族関係登録制度になりました。
 


「本籍」が無くなり、登録基準地になる
 

本籍とは、戸主の出身地が基準で、その家族(一族)全員がこの本籍に編成されており、戸主(戸籍の代表者)のみが、本籍地を変更することができました。

今回施行された登録基準地とは、家族構成員一人一人の実生活の地域・住所が基準ですから、、家族が同一の登録基準地を持つ必要がなく個別に決定されますし、個人が自由に変更できるので、戸籍制度とは根本的に異なります。



戸籍謄本・除籍謄本から、「家族関係登録簿」になる


従来の戸籍謄本・除籍謄本は、本人の身分事項(出生・婚姻・離婚・死亡等)だけではなく、戸主を中心にした同一戸籍内の家族(一族)構成員や全員の身分事項がそのまま出ていましたので、不必要な個人情報の露出がプライバシー問題となっていました。

但し、帰化許可申請する場合は、戸籍謄本・除籍謄本を取得することで、家族の身分関係が一目瞭然できましたので有益でした。


家族関係登録簿は、個人個人の家族関係事項・身分事項を個人別に入力した電算情報証明ですから、証明書という形で必要に応じて、発行されます。

証明書は、目的によって5種類あり、本人だけでなく本人以外の個人情報の公開を最小化されています。

しかし、前述したとおり、帰化許可申請する場合は、これまで戸籍謄本や除籍謄本を取得することで家族関係がすぐに分かりましたが、今後は家族関係前任の各種証明書を取得する必要があるので、面倒かつ余計な出費が掛かることになります。


戸籍謄本と家族関係登録簿との比較

変更前

戸籍(簿)

戸籍謄本・抄本(1種類)

本籍

転籍

就籍

変更後

 

2008年1月1日以降

家族関係登録(簿)

家族関係記録事項証明書(5種類)

登録基準地

登録基準地 変更

家族関係 登録創設



家族関係登録簿証明書の種類と記載事項

出生書の種類

記載事項

共通事項

個別事項

家族関係証明書

本人の
登録基準地・
姓名・性別・
本・生年月日
および
住民登録番号

父母、配偶者、子女の身分事項
(記載範囲は、3代に限る)

基本証明書

本人の出生、死亡、改名などの身分事項
(婚姻・入養の可否は別途)

婚姻関係証明書

配偶者の身分事項および
婚姻・離婚に関する事項

入養関係証明書

養父母または養子の身分事項および
入養・罷養に関する事項

親養子入養関係証明書

親生父母・養父母または親養子の身分事項
および入養・罷養に関する事項

 

家族関係証明書に記載される家族は、本人を基準にした父母、配偶者および子女のみで、本人の祖父母や兄弟姉妹および孫は記載されません。

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