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これまでの「経営・管理」ビザは、極端に言えば会社設立の資本金500万円と事業計画書が用意できれば取得することは可能でした。
これは預貯金が少ない留学生にとっては、少額の投資額で事業活動ができるチャンスでしたがが、2020年以降の中国の不動産バブルの崩壊で富裕層の逃避先として、わずか500万円で日本に合法的に住むことができる「経営・管理」ビザに目を向けるようになりました。
そして、経営・管理ビザを取得すると本人以外に家族も中国から呼び寄せすることができる上に、社会保険サービス(健康保険にも加入)も家族全員享受できます。
更に日本は少子化の影響で高校授業料の無償化や有名大学にも推薦入試で合格しやすくなったため、中国の異常な大学受験戦争から解放されたい中間層までが「経営・管理」ビザが周知され、それと共に中国人ブローカーが活発に営業活動を始めたために「経営・管理」ビザを希望する中国人が増加しました。
たとえば2015年に「経営・管理」ビザを取得していた外国人は約18,000人いましたが、2024年には約40,000人に上り、そのうち中国人は約22,000人で、二人に一人は中国人経営者になります。
近年の外国人入国者が増加しているのにも関わらず入管の職員は増員されず、そもそも審査官の人員不足の中、入管の審査も申請書は書面審査を中心に可否を判断するのでで、余程怪しい申請以外は、極端に言えば事業計画書と資本金の証明さえできれば取得が可能でした。
また中国人ブローカーが高額な報酬で事業計画書から会社設立、銀行開設まで手配してくれるので、全く日本語ができなくても「経営・管理」ビザを取得することができました。
それだけ「経営・管理」ビザの取得が容易だったことが分かります。
厳格化の最大の理由は、経営管理ビザが本来の目的とは異なる形で悪用されるケースが増加したことです。
現行の500万円という資本金要件は、2006年に定められてから約20年間変わっていませんでした。この間に日本の物価や経済規模は大きく変化し、円安も進んだ結果、この金額は国際的に見て極めて低い水準となっていました。そのため、「お金で買えるビザ」と揶揄されるようになり、実際には事業活動を行わないペーパーカンパニーを設立して在留資格を取得したり、移住の手段として利用されたりする事例が後を絶ちませんでした。
こうした状況は、制度の信頼性を損なうだけでなく、不法就労の温床になるなどの問題も引き起こしていました。そこで政府は、資本金と雇用の両面から事業の実態を厳しく問い、安易なビザ取得を防ぐことで、制度の健全化を図ろうとしているのです。
今回の改正は、日本の起業家ビザの基準を、他の先進国のレベルに合わせるという狙いもあります。
例えば、アメリカや韓国などでは、同様の投資家向けビザを取得するために、日本円にして数千万円規模の高い投資額が求められるのが一般的です。これに比べ、日本の500万円という基準はあまりにも低く、本気でビジネスを成功させようという意欲のある起業家ではなく、単に日本に住みたいだけの人まで呼び寄せてしまう可能性がありました。
政府は今回の改正を機に、受け入れ方針を「量から質へ」と大きく転換し、十分な資本力と経営能力を持ち、日本の経済成長や雇用創出に大きく貢献してくれる「本気度の高い」起業家を厳選して受け入れたいと考えているのです。
常識的に考えても事業を開始するには、下記投資額が必要になります。
1.賃貸料金(部屋を借りる) 10万円×12ヵ月 = 120万円
2.水道光熱費 2万円×12ヵ月 = 24万円
3.机、ソファー、事務用品等 = 50万円
4.文書・通信費 1万円×12ヵ月 = 12万円
5.交通費 1万円×12ヵ月 = 12万円
創業1年目の経費 = 約218万円
+ 経営者の給料 = ???万円
上記の計算通り、たとえ会社を設立しても維持するには年間218万円掛かりますし、自分の給料支払いも発生しますので、これまでの500万円の資本金は如何に画餅(絵に描いた餅)だということがお分かりですね?
このようなことが現実に起こっているので、資本金を3000万円に引き上げられました。
海外で投資家のビザを取得するには、日本とは比較にならない金額を投資する必要があります
アメリカ 200,000ドル以上(3000万円以上)
シンガポール 2,500,000SD(2億円)
スペイン 500,000ユーロ以上(8200万円以上)
イタリア 250,000ユーロ以上(4100万円以上)
上記投資金額以外に、例えばイタリアでは投資ビザを取得するには以下の要件をクリアする必要があります。
また、イギリス、カナダやオーストラリア、アイルランド、オランダなどは、移民の増加やセキュリティの問題で制度の廃止や停止措置が取られています。
これまで日本は先進国の中で一桁安い資本金で投資ビザを取得することができましたが、前述のような、本来の経営目的以外の外国人が増加してきた事実があります。
そこで政府は重い腰を上げて2025年10月より、これまで「資本金500万円」という異常に低い金額から他国と同等レベルの3000万円に引き上げました。
資本金が引き上げられたことにより、これまでは大学卒業後に起業を考えていた留学生にとってはハードルが上がることになり、個人レベルでの資金で挑戦できた小規模な起業が非常に難しくなりますが、日本を逃避先としていた者や医療サービスを甘受したい者、高等教育を安価で受けたい者にとってもハードルが上がることになります。
法律の改正点として、「常勤職員1名以上の雇用」が義務化されます。
「常勤職員」とは、日本人、特別永住者、または「永住者」「日本人の配偶者等」などの身分系の在留資格を持つ外国人に限られ、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで働く外国人は対象外となります。
そして、これまではいわゆる社長ひとりで「経営・管理」ビザを取得して事業を開始することが可能でしたが、改正後は必ず上記該当する従業員を雇用して給与を支払っていく必要があります。これにより、日本国内での雇用創出に貢献する意思と能力が、ビザ取得の段階で明確に問われることになります。
今回の改正では、事業の規模だけでなく、「経営者自身の能力や経験」がより厳しく問われるようになりました。
具体的には、以下のいずれかの要件を満たすことが求められます。
事業計画書の重要性
これまでは申請や更新では自分で適当に作成した事業計画書を提出すれば良かったですが、今後は専門家が事業内容を確認した、客観的で実現可能性の高い計画書が必要になります。
具体的には中小企業診断士や公認会計士、税理士といった経営の専門家による評価書です。
日本語能力の必要性
申請者または常勤職員(社員)の日本語能力が必要になります。
この日本語能力とは以下の要件をクリアする必要があります。
1.日本語能力試験(JLPT)でN2以上認定
2.BJTビジネス日本語能力テストで400点以上取得
3.中長期滞在者として20年以上在留している
4.日本の大学を卒業している
5.日本の義務教育を終了後に同高校を卒業している
本来なら日本で経営活動するのであれば、日本語能力があって当然のことですが、最近の外国人経営者は自国の客だけを相手に商売したり、そもそも前述のとおり経営とは別の目的で「経営・管理」ビザを取得したりする者が増加しているための措置です。
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